ESL Pro Tour 2023-2024の詳細が発表されました。

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Summary

23-24シーズンのESL Pro Tour

2019年まで続いたWCSからバトンを受け、2020年からBlizzarとESLの3年契約で始まった新しいEスポーツシステム、ESL Pro Tour。
2022-2023シーズンをもって3年契約が終了するため、SC2のEスポーツシーンはこれで終わりなのではないか?という声も多く上がっていました。
しかしOlivieraの伝説的な優勝を持って終了したIEM Katowice 2023にて、SC2 Eスポーツは今年も継続されると告知。
そしてようやく、2023-2024シーズンの詳細が告知されました。
https://pro.eslgaming.com/tour/2023/02/esl-pro-tour-season-23-24-announcement/

ESL Pro Tour 2023-2024シーズンのざっくりとした内容は以下の通りです。

  • ESL Pro Tour SC2は、毎週のウィークリーカップ、2回のオンライン地域大会+オフライン大会のESL SC2 Masters、決勝大会のEPT Championshipで構成される。

  • Dreamhack SC2 MastersはESL SC2 Mastersと名称変更。

  • 2回のESL SC2 Mastersオフライン大会はDreamhack Summer(Jonkoping)とDreamhack Winter(Atlanta)で開催される。

  • Blizzardの資金援助が終了し、ESLが賞金を含めた全ての費用を負担する。

  • EPT KoreaことGSLも開催されるが、かなりの規模縮小が行われる。

それでは23-24シーズンのESL Pro Tourについてもっと細かく見ていきましょう。

ESL Pro Tour公式イベント

ESL SC2 Masters Summer 2023

  • 賞金総額:$200,000
  • オンライン地域大会:5/2-5/21
  • オフライン大会(Dreamhack Summer in Jonkoping,Sweden):7/16-7/18

ESL SC2 Masters Winter 2023

  • 賞金総額:$200,000
  • オンライン地域大会:10/31-11/19
  • オフライン大会(Dreamhack Atlanta):12/15-12/17

EPT Championship

  • 賞金総額:最低でも$200,000
  • 詳細は今年中に発表(IEM Katowiceで行われるかどうかも不明)

オンライン地域大会の統合について

2022-2023シーズンまではEU、NA、ラテンアメリカ、中国、台湾/香港/マカオ/日本、オセアニア/その他アジア、韓国の7リージョンに別れてオンライン地域大会が開催されていましたが
2023-2024シーズンからはEU、アメリカ(NA+ラテンアメリカ)、アジア(中国+台湾/香港/マカオ/日本+オセアニア/その他アジア)、韓国の4リージョンに分かれての開催となります。
これはリージョン間の競技レベルに大きな差があり、それを是正するため、とのことです。

筆者の感想

2つのSC2 MastersイベントがDreamhackで開催されるという点においては、昨年と同様となります。
ただしそれぞれの賞金総額は$338,000→$200,000とダウン。Blizzardの資金供与がストップしたことが大きいようです。
詳細未定のEPT Championshipは$500,000→$最低でも200,000と大幅ダウンですが、ここのみ「最低でも」と付いているので、クラウドファンディングのようなものが行われるのか、
さらなるスポンサーが確保できたら賞金額が増えるのか、そういったことではないかと考えられます。
オンライン地域大会のリージョン統合はそれぞれの大会の競技レベル向上にはなるものの、日本も含めたマイナーリージョンにとっては厳しいことになりそうです。
全体的には大会数は維持されているものの、スリム化+規模縮小しています。

EPT Korea(韓国)側

EPT KoreaとしてGSLが今年も継続されますが、以下のように大幅な規模縮小になります。

  • GSLはSeason1~3の3シーズン行われる。4-5月にSeason1、6-7月にSeason2、9-10月にSeason3。
  • 参加者は16人に減少。Ro16とRo8がグループリーグでオンライン開催、Ro4はBo5でオフライン、決勝がBo7でオフライン。
  • 賞金額は優勝賞金1000万ウォン、賞金総額3400万ウォン。
  • GSL Super Tournamentは廃止。

筆者の感想

Blizzardの資金供与が止まった影響が韓国シーンにモロに直撃する結果となりました。
賞金総額は3シーズン合わせても2022年の1シーズンにも満たず、30%程度の規模に。
参加人数も減り、ほとんどがオンライン開催になり、GSL Super Tournamentは廃止されてしまいました。
はっきり言ってこの規模ではシーンの維持は不可能と言っても言い過ぎではないでしょう。
現在でもSC:BWの大会が大きな規模で行われている国ですので、SC2に割けるリソースはBlizzardのサポートがなければこれが限界ということなのでしょう。
GSLというよりは本当にESL Pro Tourの1リージョンにすぎない、といったほうが正しいかもしれません。
韓国シーンの危機にコミュニティのウィークリー大会が企画されたりはしているようですが、このままだとプレーを続けられない選手が殆どになりそうです。
唯一の救いは中国チームリーグですが、中国サーバーが終了した関係上、今後どのような規模で行われるか不明(継続する意図はあるようです)。
長くSC2シーンを引っ張ってきた韓国シーンですが、最大の正念場を迎えています。

パートナーイベント

現状パートナーイベントの発表は無いものの、HomeStory CupやTeamLiquid StarLeagueなどのイベントがEPTサーキットに入ることは可能とのことです。
公式の規模がかなり減ってしまっていますので、パートナーイベントやコミュニティイベントが今後は重要になってきそうですね。

ESL Open Cup

ESL Open Cupは53回のESL Open Cupが3リージョンで1回の賞金$400、総額$63.600で開催予定。
こちらは22-23シーズンの規模・回数から変更ありません。

バランスパッチ、マップ変更について

これまで同様、マップ変更やバランスアップデートに関してもBlizzardと協力して行いたいとのことです。

SC2 Eスポーツシーンのこれからについて

Blizzardとの3年契約が終わり、もうSC2 Eスポーツは終わってしまうのではないか?という予測もありましたので、こうして今年も継続されることは嬉しく思います。
しかしBlizzardの資金援助が終了したことで、賞金額という観点で言えばかなり減少、特に韓国シーンに関しては壊滅的な規模縮小が行われてしまいました。
発売からすでに13年が経つゲームですし仕方がないかなとは思いつつ、それでもBlizzardにはサポートしてほしかったなと思います。本当に残念です。Diablo4は買いません。
Blizzardのサポートがなくなったにもかかわらず、費用を全額負担してまでシーンを続けてくれるESLには本当に感謝しかありません。
SC2シーンにはEスポーツシーンの中でも屈指のコミュニティがあります。今回の発表を受け、すでにシーンを支えようとしているコミュニティメンバーも少なくありません。
プロシーンとは関係ないかもしれませんが、日本コミュニティとLWJは過去最高の盛り上がりを見せています。強いコミュニティはSC2の財産ではないでしょうか。
多分これが、SC2 Eスポーツ最後の1年かな?とも思います。SC2に明るい未来がある、とは思いませんが、これからも楽しくプレー・観戦していけるゲームであってほしいなと思います。
RTSファンの希望は、違う形でやってくるかもしれませんね…?次章に続く

RTSファンの希望 Stormgate

みなさんもご存知、SC2やWC3の開発陣がFrost Giant Studioで作成中のF2P RTS「Stormgate」ですが、今回の発表を受けてこのようなメッセージを出していました。
「わたしたちの目標は、StormgateがRTS競技シーンの新しい中心になることです。」
https://twitter.com/PlayStormgate/status/1628858518920105986
このコメントに多くのSC2プロプレイヤーやキャスターなども反応していました。
昨年招待されたクローズな発表回ではEスポーツシーンの大まかな計画も公開されていましたので、Stormagateは明らかにSC2のプロシーンを意識し、それを引き継ぐことを目標としているように感じます。
SC2 Eスポーツ最後の1年、と言いましたが、Stormgateが当初の予定通り2023年中にβテストを開始し、競技シーンをスタートできるのなら、この最後の1年は多くのプロプレイヤーにとってありがたい1年になるのではないかと思います。
もちろんまだ何のプレー動画も出ていないリリース前のゲームに過度な期待は禁物ではあります。ほどほどに期待しつつ、まだまだSC2を思いっきり楽しみましょう!