WCSに代わり、StarCraft2 ESL Pro Tourの開催が告知されました。

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Summary

ESL Pro Tour爆誕

2012年に最初のWCS(World Champion Ship Seires)が開催されて以来、昨年まで全8シーズンのWCSが開催されました。
リージョンロック絡みの論争でひと悶着あったり、システムが毎年コロコロ変わるなど批判も多かったWCSですが、
StarCraft2の公式大会として立派に役割を果たし、数々の素晴らしい瞬間を創造してきました。

2020年、StarCraft2が10周年を迎えるにあたり、WCSはその役割を終え、SC2のEスポーツシーンは新たなステップに進むことになりました。
(Blizzardからのお別れと今後についてのコメントはこちらをどうぞ→https://wcs.starcraft2.com/en-us/news/23231587/The-Exciting-Future-of-StarCraft-II-Esports/)

Dreamhack&ESLによる新たなシステム「ESL Pro Tour」が誕生します。
ざっくりとした内容は以下の通りです。

  • SC2のEスポーツシステムは、WCSに代わり、Dreamhack&ESLが運営する「ESL Pro Tour」に引き継がれる。
  • ESL Pro Tourは最低3年間の契約が結ばれている。
  • ツアーは年4回のDreamhack Mastersイベント(リージョンロック)と韓国リーグ、年2回のMasters Globalイベントで構成される。
  • 世界チャンピオン決定の場はBlizzconからIEM KatowiceでのMasters Championshipに移る。
  • NA、KR、EUの3地域で毎週開催されるオンラインオープントーナメント「ESL Open Cup」も新設される。
  • 2020年シーズンはSC2の10周年を記念して、賞金額が通常よりブーストされる。

それではESL Pro Tourについてもっと細かく見ていきましょう。

全体の流れ


WCSには海外選手(及び正式なビザを持つ韓国選手)が参加できる「WCS Circuit」と韓国選手を中心とした「WCS Korea」の2種類の枠組みが設けられ、
それに加えてCircuit、Koreaどちらの選手も参加可能なWCS Global Eventが存在。1年の終わりには海外側と韓国側から成績上位者が集まり決勝大会を戦う・・・といった形でしたが、そこから大きくは代わりません。

ESL Pro TourではDreamhackで年4回開催されるMastersイベントが海外選手向けに存在し、韓国リーグがまた別に開催されます。加えて海外・韓国どちらも出場可能なMasters Globalイベントも存在します。
ESL Pro Tour側、韓国リーグ側のそれぞれが大会の成績に応じて選手にポイントを付与し、ポイントによりプレイヤーランキングを決定します。

1年の終わりにESL Pro Tour側としてMasters優勝者4人、Masters Global勝者2人、ESL Pro Tourポイントランキング上位5人が、韓国側として韓国リーグ優勝者3人、韓国リーグポイントランキング上位6人が決勝大会「Masters Championship」に進出。
さらに上記の条件で突破出来なかったESL Pro Tourランキング次点上位8人と韓国リーグランキング次点上位8人が、Masters Championship進出をかけたPlay-Inステージを戦います。

ESL Pro Tour(海外選手)側

海外選手が参加可能な「ESL Pro Tour」側のシステムについて解説していきます。

参加資格

これまでのWCS Circuit同様、韓国を除く地域における市民権、永住権、適切なビザを持っているプレーヤーが参加できます。
韓国選手でもアスリートビザなどがあれば参加できますが、実際そういった参加者がいるのかどうかはまだ不明です。
リージョンロックに関しては韓国シーンの沈下と海外選手のスキル向上により、廃止してもよいのではないかという声が多く上がるようになりましたが、2020年シーズンに関しては維持されるようです。
ただし、責任者のAppolo氏によれば、韓国シーンは新規プレーヤーの登場が無く厳しい状態にあるほか、以前(2012-2016ごろ)のように韓国選手が海外大会に出てすべてを持っていってしまうような状況にはもうならないであろうとの観点から、
2021年シーズン以降に関しては議論を尽くした上で再検討する余地があるとのことです。

Dreamhack Mastersイベント

今までのWCS Circuit Championshipにあたる、海外選手側のメイン大会が「Dreamhack Masters」です。詳細は以下の通りです。

開催予定の大会

  • DreamHack SC2 Masters Dallas:2020 5/22~5/24
  • DreamHack SC2 Masters Valencia:2020 7/2~7/4
  • DreamHack SC2 Masters Montreal:2020 9/11~9/13
  • DreamHack SC2 Masters Leipzig:2021 1月

賞金額

賞金総額は75,000ドル(2020年は10周年記念で125,000ドル)。優勝プレーヤーはMasters Championshipへの出場権を獲得。
賞金分配の詳細は明らかになっていませんが、Apollo氏によればトップヘビーな賞金分配を改善し、より広く賞金が行き渡るように変更したいとのこと。
例えば予選優勝者の賞金は以前は1,600ドルでしたがこれが1,000ドルになり、より下位のプレイヤーに分配したり、
WCS Circuitでは上位32人に賞金が与えられましたが、これが上位64人に変わるなどの変更が明らかになっています。

参加方法

WCS時と同様に、各地域で行われる予選を勝ち抜いたシードプレーヤーに加えて、オープン参加も含めた全80人が参加可能です。
Masters予選からの渡航サポート込みの参加者枠は以下の通りです。

  • (4) 北アメリカ, (7) ヨーロッパ・アフリカ・中東, (2) ラテンアメリカ, (1) 中国, (1) 台湾・香港・マカオ・日本, (1) オセアニア・東南アジア

WCS Circuitのときと比べて、中国、台湾・香港・マカオ・日本、オセアニア・東南アジアの枠が1つずつ減ってヨーロッパが3枠増加して7枠になっています。

大会形式

WCS Circuitと同様、オープン参加の64人のプレーヤーがStage1,Stage2のグループリーグにより16人まで絞られ、予選通過者16人と合わせてStage3のグループリーグを行います。
Stage3のグループリーグで2位だった選手8人とルーザーズブラケットを勝ち抜いた選手8人がRo24のプレーオフを戦い、その勝者8人とStage3で1位だった選手8人を合わせて16人の決勝トーナメントが行われます。

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筆者の感想

基本的にはWCSとほぼ同じ形式となりました。リージョンロックに関しては、韓国シーンの地盤沈下が激しいことを考えれば、来シーズン以降のリージョンロック廃止は考慮してもよいのかなと思う反面、
間違いなくリージョンロックによって海外シーンが活性化した経緯もありますので、なんとも言えない気持ちではあります。リージョンロックがあっても韓国シーンが活性化する何かがあればよいのですが・・・。
2019年の次点でトップヘビーな賞金分配の改善は行われていましたが、これが更に進むのは良い傾向だと思います。シーンを長く続くものにしていきたという意図が感じられますね。
Masters予選通過枠の変更には反対です。確かに中国・台湾・オセアニアプレイヤーのレベルは高くなく、予選通過者がそのままグループリーグで敗れることも多かったのですが、各地域シーンの活性化のためには必要だと思うからです。
日本が所属する台湾リージョン枠も1となってしまったため、本戦出場はかなり狭い門になってしまいましたね・・・。

韓国リーグ側

韓国リーグ側に関しては、詳細はほとんどわかっていません。明らかになっている要素は以下の通りです。

  • 3人の韓国リーグチャンピオンがMasters Championshipに進出(=リーグは3回行われる?)
  • 「GSL」のブランドで大会が行われるかも不明

詳細は続報を待ちましょう。

ESL Open Cup

ESL Open Cupは毎週ヨーロッパ、韓国、北米それぞれのリージョンで行われるオンラインオープントーナメントです。
リージョンごとに行われるものの、どの地域のどのプレーヤーも参加可能。
各大会ごとに100ドルの賞金と、10のESL Pro Tourポイントが割り当てられています。
毎週オンラインとはいえ公式大会が楽しめるのは、観戦側にとっては嬉しいですね。プレイヤーにとってもモチベーションアップの要因になるかもしれません。

Masters Globalイベント

ESL Pro Tour側の海外選手と韓国選手、どちらも出場可能な大会がMasters Gloablイベントです。年2回開催されます。
大会形式は各大会に一任されています。
2020年シーズンは以下の2つのイベントが予定されています。

IEM Katowice 2020

2021年からは決勝大会のMasters Championshipの場になるIEM Katowiceですが、今年はMasters Globalイベントの一つとして開催されます。
賞金総額400,000ドル、優勝者はMasters Championshipへの出場権を獲得します。
すでに予選が進んでおり、2/24~3/1の期間で開催予定です。

未決定イベント

Dreamhack Masters Montreal(9月)とDreamhack Masters Leipzig(1月)の間にMasters Globalイベントが開催予定ですが、詳細はまだ不明となっています。
Blizzardのお別れコメントの中に、Blizzconでの世界一決定戦はなくなるものの、別の形でのSC2 Eスポーツイベントを開催予定というものがありましたので、
Blizzconの場で何らかのMasters Globalイベントが開催されるのではないかと思われます。
賞金総額は75,000ドル(2020年は10周年記念で200,000ドル)と決まっているようです。

2021年以降は?

2020年はIEM KatowiceがMasters Globalイベントの一つとして開催されますが、2021年以降は決勝大会Masters Championshipの場になるため、また別のMasters Globalイベントが用意されるのではないかと推測されます。

決勝大会「Masters Championship」

Masters4回、Masters Globalイベント2回、Open Cup156回、韓国リーグ3回の集大成となるのが決勝大会であるMasters Championshipです。
2021年のIEM Katowiceの場で1週間程度の日程で開催されます。詳細は以下となります。

参加資格

以下のプレイヤーがMasters Championshipに参加できます。

ESL Pro Tour側(11人)

  • Masters大会の優勝者(4人)
  • Masters Global大会の優勝者(2人)
  • ESL Pro Tourポイントランキング上位5人(5人)

これら11人はMasters Championship本戦にストレートインします。

韓国リーグ側(9人)

  • 韓国リーグ優勝者(3人)
  • 韓国リーグポイントランキング上位6人(6人)

これら9人はMasters Championship本戦にストレートインします。

PLAY-INステージ(16人)

  • 上記を除くESL Pro Tourポイントランキング、韓国リーグポイントランキングのそれぞれ上位8人(16人)

この16人は本戦開始前にPLAY-INステージを戦い、勝ち抜いた4人のプレーヤーが本戦へと出場します。

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賞金

賞金総額は500,000ドルと発表されています(War Chestボーナスを除いた場合のWCS Global Final賞金額と同じ)
詳細な分配は公表されていませんが、ここにもより広く分配するポリシーは適応されるのでしょうか。

筆者の感想

2019年はGlobal Playoffをじっくり4日間かけてやったあと残りを1日で無理して終わらせたことで、視聴者的にも盛り上がりに欠けた面がありました。
決勝大会の舞台をBlizzconから移すことで日程的に余裕ができますので、観戦側もプレイヤー側もゆったりとした日程で大会を楽しむことができそうですね。
PLAY-INステージの導入も面白いと思います。ポイントを獲得できるシーンがそこまで多くない以上、シーズン後半にはある程度Blizzcon進出者が確定してしまい、大会におけるポイント争いの盛り上がりを欠くシーンも見られました。
PLAY-INステージ導入により、ポイントランキング16位程度のプレイヤーでもMasters Championshipに出場できるチャンスがあるため、ポイント争いも激化しますし、プレイヤーのモチベーションにもなると思います。

終わりに 筆者の全体の感想

2019年は正直、今年が最後かもしれないなという覚悟のもとWCSを楽しんでいました。Circuitは有給を取って見ましたし、GSL日本語配信のために休みを代えたり早退したりしました。
Global Finalが11月に終わって、なんのニュースも無いまま年が開け、やっぱり去年が最後かなとか、開催されても今度こそ2020年が最後になるのかとも考えていた中飛び込んできたのが今回のニュースでした。

いろいろな要素がありましたが、自分が一番うれしかったのは「3-year deal」の文字です。
今までSC2プロシーンは先行き不安定で、シーズンが終わるたびにファンやプロプレイヤーは来年どうなるのか分からない不安な時間を過ごしました。
Heroes of the stormのプロシーンが突然消えた後はその傾向がより強くなったように思います。
去年のBlizzconではSC2は存在感がなく、大会も1日で急いで終わらせ、BlizzconまとめビデオにもSC2の姿はなく(いや、それはやっぱいかんでしょ)、もうSC2はBlizzardにとって重要なタイトルではないんだろうかという考えもあった中、
全く新しいシステムで3年間Eスポーツシーンが維持される、本当に嬉しくて軽く涙ぐんでしまったのが正直な所です。

プロプレイヤーは少なくとも3年間は自分が取り組んでいるゲームのプロシーンが突然消えてしまう心配に怯える必要はありません。コミュニティもシーズンが終わるたびに不安を覚える必要もありません。純粋な気持ちでシーンを楽しめる。本当に素晴らしいことだと思います。
ESL Pro Tourの紹介をしてきましたが、SC2のプロシーンはこれだけではありません。WESGはもうすぐ開催されますし、中国チームリーグも新たなチームが参戦して開幕するでしょう。HGCを含めたコミュニティ大会も多く存在します。日本でもLegacy Weekly Japanが毎週開催されます。
この素晴らしいゲームのプロシーンをまだまだ楽しめることに感謝しつつ、終わりにしたいと思います。2020年もSC2 Eスポーツにとって素晴らしい1年になりますように!