(9/23更新)25/9/19 5.0.15 PTRバランスアップデート案が公開されました
Summary
更新
以下の内容は、25/9/23 5.0.15 PTRバランスアップデート案が更新されましたの内容に基づいて更新されています。
なんか突然パッチ案がきた
昨年10月の(主に)プロトス強化を目的としたパッチから10ヶ月。
2025年もEスポーツワールドカップにてSC2が無事採用され、GSLではプロトス優勝、EWC本番でもClassicが準優勝するなど、
プロトス強化という目標はある程度果たされたものと思われます。
2026年のSC2 Eスポーツに関する情報は特になく、以前までバランス調整を担当していたバランス評議会も何も動かないので、
もうバランスパッチは来ないのかな…などと思っていたら、突然バランスアップデート案が現れました。
以前までと異なり、パッチのコンセプト説明やバランス調整の意図などは一切無い、ただ変更案のみが書かれた無骨なPTRパッチノート。
それもそのはず、今回はバランス評議会ではなく、Blizzardによるバランス調整のようです。(Lowkoなどが言及)
BlizzardにSC2のバランス調整をする人が居たというのは驚きではありますが、まず内容を見ていきましょう。
9/23更新分は青色太文字で表示します。
バランスアップデート案内容
ザーグの変更案
Spire
シンプルながら、強力な変更です。ゲーム中の建物の中でもかなりコストが重く建築時間も長いSpire。
その生産コストと、追加で建築時間減少も入り、弱点をダブルで補う変更案になりました。
意図としては、次のBanelingの変更と合わせ、TvZにおけるダブルリングミュータ構成を復権させたい、といったところでしょうか?
もちろんPvZ、ZvZにも影響を及ぼしそうな変更です。
Baneling
Centrifugal HooksのBanelingへのHP増加を復活。5のHP増加を与えるように。
なかなかの基本ユニットでありながら、Lotvを通じてナーフされてきたBanelingに久々のバフ(といっても、昔あった効果の復活ではありますが)
TvZを意識したものかな?と想いますが、Probeを+2アタックBanelingでワンショットできなくなるなど、PvZでもやや有効度が落ちていたことからの埋め合わせでしょうか。
Infestor
Microbial Shroudは、範囲内にいるユニットが受けるレンジユニットからのダメージを50%減少するようになる。
Microbial Shroudの範囲内から出たユニットに効果が残る機能を削除。
Microbial Shroudのエナジーコスト:75→100に増加
Microbial Shroudは再び研究が必要になる。
150/
150、研究時間79s
しれっととんでもない変更になっています。もともとはエアユニットからのダメージを軽減するだけでしたが、レンジユニットからのダメージを軽減するような変更。
BWにいたDefilerのDark Swarmにちょっと似ていますね(あちらはダメージ無効というとんでもない効果でした)
ローチハイドラ vs MMMタンクやローチハイドラ vs アーコン/ストーカー/イモータルのようなレンジユニット同士の殴り合いでは自陣にかけることで絶大な威力を発揮することになるでしょう。
ダブルリングウルトラ主体の軍の場合では敵に向かってかけることになりますが、それでもかなり効果的になりそうです。
ただし、Oracleの攻撃やWidow Mineなどのスペルダメージは減少できないほか、建物にも無効です。
さすがに強すぎるか、追加の変更案でエナジーコスト増、さらに研究が必要になりました。使用までのハードルはやや上がりましたが、準備さえ整えばやはりかなり強力な能力になりそうです。
プロトスの変更案
Nexus
Battery Overchargeの代わりに昨年のパッチで導入された
Energy Recharge。当初は防衛力の減少が懸念されたものの、
Sentryの偵察力強化やOracleへの実質的な初期エナジー増、Shield Batteryに使用して防衛強化など、幅広いユニットに使われることでそれをカバーし、プロトスの立ち回りの幅を広げることに成功していました。
この変更が入るとシンプルに立ち回りの幅がやや減ることにはなりそうです。序盤Sentryに使われる事が多いですが、この変更が入ると、Energy Recharge使用後には
Force Fieldのエナジーが残らないことになります。
序盤の偵察能力が高すぎることを嫌った変更でしょうか…?
Mothership
- HPおよびシールド:350/350→300/300に減少
- 移動スピード:2.83→2.25に減少
見たままの変更なのですが、Mothershipがそこまで問題になっている印象はなかったので、意図があまり良くわからない変更です。
追加で移動スピードのナーフも来ましたので、やはり今のバランス担当者はMothershipには思うところがあるようですね。
High Templar
Psionic Stormのダメージ:1チックごとに10→5に減少。
Psionic Stormのduration:0.39956→0.53312に増加
Psionic Stormの効果半径:1.5→2.25に増加
Psionic Stormのperiod:0.7994→0.39956に減少
Psionic Stormのperiod count:6→12に増加
一番最初に来たのはDPS半減、効果時間3倍というもので、これはPsionic Stormのアイデンティティ崩壊じゃないか?弱すぎないか?と話題になったのですが
追加の変更案で、全く違うものになりました。ただパッチノートがゲーム内部のパラメータで書かれていてわかりづらく、正直どうなるのかこれではいまいちわかりません。
実際に試したところ、こんな感じでした
- 今の
Psionic Storm:2.86sで10ダメージずつ8回、合計80ダメージが入る。範囲は1.5
- 変更案の
Psionic Storm:5.3sくらいで5ダメージずつ26回、合計130ダメージが入る。範囲は2.25
こうなると、DPSはやや落ちている(80/2.86=28、130/5.3=24.5)ものの、細かくダメージが入るので取りこぼしづらく、範囲も倍以上に増え、効果時間と総ダメージも増えているので、むしろ強化と言って良いのではないでしょうか。
実は数値の変更の他に、いままでPsionic Stormのチックが正しく適用されておらず、ダメージが少なくなっていたバグもあったようで、それも合わせてのこの性能なのかもしれません。
弱くするのはどうなのと前回言いましたが、強化するのもどうなのという感じではあります(ただでさえプロトスが強い状況なのに!)
ただ、ゲームの仕様周りも含めてPsionic Storm周りがまだ不安定な感じですので、ここはこれから調整があるのかもしれません。
Dark Templar
飛んでいった後すぐ攻撃してくれるようになるので、シンプルなバフになります。序盤でこの研究を見かけることがそこまでないので、もっとこの研究を使ってほしい、という意図でしょうか。
Observer
クロークがバレなければ常駐して広い視界を取り続けられるほか、F2使用時にもその場に居続けてくれる点において重宝されれていたSurveillance Modeですが、
この変更が入ると常駐の偵察能力を少し失うことになりますし、クロークを維持してほしいとなるとF2も使いにくくなりそうです。
正直、あまり意図が読めない変更です。
Disruptor
シンプルなDisruptorの強化です。こうなると、運営はPsionic Stormの変更をナーフと捉えているんですかね?
Psionic Stormの変更とともにこれが来るとなると、プロトスのAOE超強化になりそうではあります。
Oracle
こちらはナーフ。マップの至る所にStasis Wardを埋め込んでおいて、進軍を遅らせたり罠にはめたりするプレーが弱くなります。
テランの変更案
Siege Tank
- シージモード時、Viperの
Abductによって引っ張られなくなる。
Siege Tankはシージモード中、杭のようなものを地面に打ち込んでいるようなので(Hotsオープニング参照)、ユニットのアイデンティティを守る、という観点では理解できる変更です。
Blinding Cloudという対処法もあるので、Siege Tankにはそちらを使ってくれよ、ということでしょうか。テランがSiege Tankを散らして配置する行動が報われやすくなる変更ですね。
嫌いな種類の変更ではないのですが、それならPsionic Stormの弱体化はアイデンティティを失ってるんじゃ?と思わないでもないです。
Viking
当初は125/50にするよという変更案でしたが、追加案で125/75になりました。マイルドにはなったものの、Vikingのコストが減少する理由はまだよくわかりません。
Widow Mine
Drilling Claws研究時の潜る時間:1.07s→0.71sに減少
あまり有効的に使われているシーンが見られなくなった研究ではありますので、ここで有効性を上げたい、ということでしょうか。
TvPにおいてP側の偵察能力が上がり、ハラスが刺さりやすくなったため、これを使ってね、という意図があるかもしれません。(でも、Energy Rechargeナーフするよね…)
Banshee
Hyperflight Rotorsの研究時間:100s→79sに減少
テランからすれば嬉しい変更だとは思います。TvZでメックが増えたので、割と使われていたとも思うのですが、もっともっと使ってくれ、ということでしょうか。
Liberator
- Liberatorの視界:10→9に減少
まぁ視界が1減るだけか、と思ったのですが、Redditを見て確かめたところ、
「Defender Mode時に展開範囲の視界を得る」という別の能力もなくなっていることが判明。
Advanced Ballisticsを入れると分かりやすいのですが、展開範囲のおよそ半分の視界が取れなくなっています。
これが意図した仕様かバグかわかりませんが、仕様だとすればLiberatorを最大に活かすには視界確保が必要となりますので、かなり大きなナーフになるでしょう。
バグ修正
- Cycloneがアタックアップグレードで+2を得ていた問題を修正。(正しくは+1)
これバグだったの?確か自分で確認して+2だなと思ってwikiにもそう書きましたが、Liquipediaには確かに+1と書いてありました。結果的には私が正しかった!
- Cycloneの
Lock Onのクールダウンの問題を修正。
悪名高きバグがやっと直るようです。これは何より。
- Mothershipの最大攻撃射程の問題を修正。
- Orbital Commandがオートラリーしていなかった問題を修正。
- その他、大量のバグ修正。多すぎるので自分でチェックしてくれ!
感想
9/19のバージョンは意図が読めないものも多く、パッチが来たこと自体は嬉しかったものの、内容にはやや批判的でした。
9/23のバージョンが来て、良くなったと思う反面、まだ意図がよくわからないところや、バグなのか仕様なのかわからないところ、プロトスのAOE強化などもあり、
まだまだこれから調整を詰めていくことになるのかなと思います。アップデートが入り次第、また記事を更新します。
遊び方
PTRサーバーでの実装ですので、Blizzard APPのゲームバージョンで「パブリックテストサーバー」をインストールして遊んでみてください。